その引き金は,地球のはじまり,いや,宇宙の始まりから用意されていた。ただ,時がくるのを待っていただけだ。
カムデン・テクノロジー会議(ポップ・テック)には,「ネットワークが我々の暮らしをどう変えるか」という副題がついている。オンラインで人類の全知識に瞬時にアクセスでき,望まない限り常に繋がっている世界が,そこまで来ている。そして,それらが存在に気付かずに行われるようになったときに,社会の様相は変わるはずだ。
接続環境に終わりはあるだろうか? もちろん,より高速で,より手軽で,より省エネルギーで,などなど。いくつも進化させる部分はある。その最後のカタチとは,どんなものだろう? たとえばパソコンモニタの前や,ノートパソコンの前かにいる必要がなく,バーチャルディスプレイを目の先に開いて,情報をみることができれば…。完全音声認識で,すべての行動を音声で制御できれば…。DSLとかT1とか,そんな規格がいっさいなくなって,至高のスピードがすべての機器に提供されれば…。ネットワーク上が,5感も6感もすべてを伝達できる空間となれば…。
そのとき,リアル・ワールドの姿はどうなっているのか? 人間の姿はどうなっているのか? 人間の心はなにを感じるようになっているのか? いや,人間は人間でいられるのか? もしかしたらその接続環境の最後のカタチの入手こそ,人間の最後の進化形態であり,人間の終わり,その次の生物の始まりなのでは? ネットワークは,電話やテレビとは違う。そも,歴史に約束された,最後の進化の引き金,トリガーだ。
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